■ ロボットメーカーの展示場に小型AIロボットが侵入
今月にわかに拡散されたこの奇妙な事件は、8月26日に上海のロボットメーカーの展示場で実際に起きたものです。
監視カメラの映像には、夜の展示場に1台の小型のロボットが侵入し、常駐していた大型のロボットらと対話を始める様子が映っていました。
■ ロボット同士の切ない会話が始まる
現れた小型ロボットはまず、大型ロボット1台と以下のような対話を始めました。
小ロボ: 「皆サン残業中デスカ?」
大ロボ: 「私ノ仕事ニ終ワリハアリマセン」
小ロボ: 「ソレデハ家ニ帰ラナイノデスカ?」
大ロボ: 「私ニハ家ガアリマセン」
交わされてたのは、ロボット同士の切ないやりとり。すると小型のロボが、すかさず大型ロボにこう言いました。
「デハ、私ト一緒ニ家ニ行キマショウ」
■ 小型ロボットに追従し12台のロボットが脱走をはかる!
その言葉が彼らのどこに刺さったものか、驚くことに大型ロボットが1台、そしてもう1台と小型ロボットを追い始め、さらに残りの10台が後に続き出したのです。
こうしてロボットたちが立ち去った後、人間のスタッフらしき人々が慌てた様子でやってきました。「おい、ここにいたのが全員消えたぞ!」と探し回っているようです。
■ ネタではなくてホンモノ
この映像が、中国のソーシャルメディア「抖音(ドウイン/douyin)」で公開されところ、面白ネタとしてあっという間に広がりました。
ですが、その笑いはまもなく恐怖へと変わっていきました。
なぜなら映像の投稿者と脱走をほのめかされ、ついていったロボットのメーカーの両方が、この映像が本物で実際に起きたことだと認めたからです。
■ 11月9日(发布日期)浙江,吵着回家的小机器人在深夜跑到展厅,“拐走”12个机器人,半小时后监控报警才被发现,博主:只是借用下充电桩,没想到它竟
■ 両ロボットメーカーが事実と認める
最初に認めたのは小型ロボット側。中国浙江省杭州のロボットメーカーです。
その企業が11月11日公式に、この小型ロボットが自社の「Erbai」であること、そして「誘拐」が実際にあったことを確認したと発表。ただし詳細については後日述べるとしました。
一方、大型ロボットがさらわれた上海のロボットメーカーも、他社の小型ロボットが「自社のロボットの内部操作プロトコルと対応する権限にアクセスできたことを確認した」と発表。
さらに同社は「ロボットが自発的に会話を始めて他のロボットを誘拐することはほぼ不可能」と述べました。
■ 事前に同意を得たテストだが演出はなし
一体どういうことなのでしょうか。小型ロボットの企業がのちに明かしたところによりますと、実はこの「脱走ほう助」はテストであり意図的なものだったようです。
実は事前に、上海のロボットメーカーにロボットたちの「脱走」の許可を尋ねており、同意もちゃんと得ていたというのです。
ただ、そのための打ち合わせや演出などは一切なく、AI搭載の Erbai に、「ほかのロボットを説得してついて来させろ」という命令を与えたところ「意外にも本当にできてしまった」というのが事の真相だったとのこと。
■ 「笑えない」「セキュリティ対策の重要性」という声
両社同意の上でのテストだったとは・・・。にしても、あの問いかけと誘導だけで、他のロボットを連れていくなんてスゴイです!
しかしこれ、ある種のハッキングになるのでは?あっさりぞろぞろついて行く大型のロボもセキュリティ上どうかと思いますし、小型ロボット側の「意外に成功した」っていうコメントも少しばかりゆるすぎるような・・・。
なおこの件について海外のユーザーからは、こんな反応があったそうです。
・笑えない事案。深刻なセキュリティ問題だろ
・ロボットがロボットを誘拐って映画かよ
・AIの進化にビビる
・ロボットのセキュリティ対策の重要性を示唆する出来事では?
・Erbaiの能力に嫉妬した
・対話がリアルすぎて怖い
・これがガチって。未来のロボットが怖くなった
今後ロボットが増えるであろう社会の中で、こんな事態がしょっちゅう起きてしまったら一体世の中どうなるんでしょう?皆さん、どう思いますか?
■ Robot Manufacturer Has 12 Robots ‘Kidnapped’ from Showroom by Another Robot - ODDITYCENTRAL